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INTERVIEWvol.3

藤本 淳吾

第2の人生でどうなりたいか考えたとき、
日々の行動が変わってくる

RH

Interview by 林 遼平

2023.05.05

数々の監督の下でプレーし、環境の変化を経験してきた藤本氏。そんな彼が「ネクストキャリア」について感じていることを聞いた。

ーー現役時代、いろいろな監督やコーチと一緒にやってきたと思います。そういう人たちを見て感じるところはありますか?

やはり説得力があります。例えば、少し太ったから筋肉をつけたいとジムに行って、担当トレーナーが太っていたら嫌ですよね。そういう感覚です。今まで教えてくれた指導者の人たちは、ちゃんと経験して、ちゃんと教えてくれた人たちなので自分もそうなりたいと思いました。最初に(長谷川)健太さんの下でプレーしましたけど、すごく男気あふれる監督かつすごく緻密で、練習やミーティングから細かいところを修正する部分は意外でした。あとピクシー(ストイコビッチ監督)は、本当に相手のチームなんて関係ないと。ミーティングも自分たちのこと。相手に合わせるというのはあの人には当時なくて、そもそもミーティングの回数も少なかったですね。そういうところも面白かった。マリノスの時はスクールやプライマリーの時に教えてもらっていた樋口監督と一緒にやりましたけど、喋り方や立ち振る舞いは変わっていないものの、イメージの伝え方などは全然違っていて勉強になりました。だから、いろいろな人とやれてよかったなと思います。

ーー監督によって選手と対話する人とそうではない人がいると思います。そこに関してはどう感じますか?

あまり近すぎてもどうなのかなと思いますけど、全くコミュニケーションがないとどうしても顔色を伺うところが出てきます。そうなると本当に信頼関係が生まれるかどうかというのは、ちょっとわからない気がしています。選手がいる前で話し込むより、監督室などで見えないようにしてやっているのかなとは思います。

ーーご自身としてはコミュニケーションを取っていく監督像を描いていますか?

もちろん、そっちの方が選手からの信頼を感じられると思います。ただ一方で、そこまで頻繁にコミュニケーションを取らないことで、こっちがどう考えているのかを選手自らが周りを見て考えたりもするので、それはそれでスキルアップや考える力がついていくのかなと思うところもあります。

ーー指導者を始めてサッカーに対する見方が変わったところはありますか?

そこはあまり変わらないかなと。ただ、今まではやはり選手だったので、サッカーを見ていたら自分で早くやりたいという気持ちがありましたけど、今は「こういう選択肢もあるのか、こういうトラップするんだ」というのを踏まえて、どういうふうに伝えたらいいのかなと考えるようになりました。それくらいですかね。

ーーご自身の中で、今後指導者として成長していくためにどんなことを身につけていかないといけないと感じていますか?

たぶん指導者の中ではもっとこういうふうにやった方がいいだろう、一方でこういうやり方があるなど、そういう技術や情報がいっぱいあると思いますけど、まずはそれをいろんな人に聞いて学ばないといけないと思っています。自分がこう思ってる、こうなりたいという狭い視野の中から自分が出て行かないといけないなと。情報収集ではないけど、それが必要かなと思います。

ーー藤本さんはジャパン・スポーツ・プロモーションと契約していますが、自分をマネジメントしてくれる会社の存在をどのように感じていますか。

「ありがたい」の一言です。それこそ自分が知らないことに対してサポートしてもらって、嫌なことでもやってくれたり、そういう人たちがいるからこそ自分が成り立っているんだと感じます。例えば、インタビューの仕事をもらった時に直接、自分が連絡を取るわけではなく、間に入ってくれることで、時間や場所など決めることが大変なことを調整してくれます。そういうのは非常にありがたいですよね。仲介人としても、自分が選手として知っている知識だけではなく、今まで経験したこと、見てきたこと、外からの情報を伝えてくれて、自分がクラブの人に言いたいこともうまく伝えてくれたりします。絶対に必要なものだと思います。

ーーネクストキャリアに対するサポートをしてくれる企業も出てきました。そういうところに関してはどんなふうに感じますか。

サッカーだけやっている中で、そういう話は選手会から聞いたり、引退した人から聞いたりはします。ただ、もちろん中には現役の時から準備して動いてる選手もいますが、辞める予定のなかった人たちが急にクビを宣告されて「どうしよう」となる選手も結構多いんです。だから、そういう時にネクストキャリアのサポートがあると大きいですよね。サッカーをやっていたら絶対にいつか次のステップに進むことになるので、そうなったとしても次の場所を見つけられる、もしくは見つけるサポートしてくれるのは引退して改めて必要だなと感じています。

ーー現役時代、どんなサポートがあったら良かったなと感じていますか?

引退を考えたときに、辞めて次へ進むには「こういう選択肢があるよ、そのためにはこういうのをやっておいた方がいいかもしれません」など、最低限社会に出たらこういうのが必要だよというのを教えてくれたらありがたいですよね。

ーー最後に指導者を目指している現役の選手に対してメッセージをお願いします。

自分がどうなりたいか、何をやりたいかというところで、かつてサッカー選手になるためにいっぱい練習してきたと思いますけど、第2の人生で自分がどうなりたいかと考えたときに日々の行動が変わってくると思います。40歳で現役を終えたとしても、まだ40年の人生が残っています。人生の半分、自分次第、自分がどうなりたいか、どうしたいかで、どうにでも変われると思います。だからこそ、現役の時から、ちゃんと準備をしておくことも必要じゃないかなと思います。