SEARCH

INTERVIEWVol.1

小林 里歌子

高校3年での大きな怪我━━
2年半のリハビリを支えたものとは

RH

Interview by 林 遼平

2022.07.21

世代別代表での活躍を経て日テレ・東京ヴェルディベレーザへ入団するも、入団後の怪我によりリハビリへ費やした期間は2年半。
大きな壁を乗り越えた先に見えたものとは。

ーーここまでの小林選手のキャリアにおいて“怪我”というのが一つ大きなものとしてありました。2015年、高校3年生の時に大きな怪我を負った当時の率直な思いを聞かせてください。

あの時はU-20W杯に間に合う想定をしていたので、手術して、復帰してU-20W杯を目指そうというモチベーションは高かったんです。もちろん落ち込みましたし、高校最後の選手権に出られないというのもありましたけど、もともとそこがゴールではないと思っていたので、すぐに切り替えられたところはあります。

ただ、それからの方がきつかったですね。リハビリがうまくいかなくて、結局、3回手術しました。最終的に2年半くらいかかっているんですけど、なぜこういう動きになってしまうのかなど原因がわからず、復帰までのゴールが見えない時期もあって、精神的にも一番きつかったなと思います。

ーーそういう状況を乗り越えるためにどんなことを考えていたんですか?

当時は若かったこともあって、振り返ると自分だけではあまり考えることができていなかったなと思います。ただ、ベレーザに入って自分と同じ怪我によって自分よりもすごく大変な思いをしている村松智子選手がいて、いろいろなアドバイスをもらいました。「待ってくれている人がいるから」など、そういう声かけがすごく響きましたし、気持ちのところをつなぎ止めてくれていたなと思います。10回近くも手術を経験している村松選手からの言葉は大きかったですね。

ーーその時期は悩みを相談することも多かったんですか?

相手が気づいてくれる感じでした。ベレーザに怪我をしたまま入団こともあり、チーム状況やいろいろなことがわかっていませんでした。みんなと一緒にボールを蹴ることもできずリハビリをしていたので、自分に対する想像もあまりつかなかったと思いますけど、そこで気にかけてくれたので助かりました。

ーー確かに入ったばかりの新人で、その上、怪我している状況で先輩たちとどんどんコミュニケーションを取ろうとするのは難しさもありますよね。

最初はまだどんな人かもわかりませんし、あまり話せず、自分に溜め込んでしまうような時間が長かったように思います。でも、2年半リハビリ生活が続いたので、そこは徐々にコミュニケーションを取りながら打ち解けていろいろ話せるようになりましたね。

ーー入団前からの怪我とあって、なかなかピッチに立てない焦りみたいなものはありましたか?

もちろんサッカーをしたいという焦りはあったんですけど、高校の最後に怪我をして、リハビリの状況でベレーザに入ったので、ベレーザの一員としてプレーしている想像がつかなかった。同世代の選手がU-20W杯に出場したり、なでしこジャパンに選ばれる姿を見て焦りはありましたが、ベレーザに関してはプレーしている想像がつかなすぎて“見ていた”感覚が強かったです。もちろん、早くベレーザでやらなければという焦りは「無かった」と言えば嘘になりますけど。

ーー2年半、怪我でなかなか試合に出られない中、ずっと親身に寄り添ってくれたクラブに対する思いはいかがですか?

入団当初の監督のもとではほとんどサッカーはできなかったんですけど、それでも見続けて待ってくれていたチームには感謝しています。先ほどは村松選手の名前をあげましたけど、行動や精神面でそれ以外の選手やスタッフ、多くの人に助けてもらったので、そこへの感謝は忘れてはいけないと思います。

ーー長い離脱期間もあり、その中で新たに始めたことなどはありますか?

高校3年生の時に怪我をしたんですけど、それまでほとんど筋トレをしたことがありませんでした。本当に高校生の時はサッカーをやっているだけで、ボールを蹴りながら練習をこなすという感覚でした。怪我をしたタイミングで初めてトレーニング的なことをするようになって、自分の身体を理解する上で重要なことだなと改めて思いました。

ーー改めて怪我の経験を経て、当時どんなサポートがあったら嬉しいなと感じていますか?

チームだとケアの部分でトレーナーが一人の選手に費やす時間がどうしても限られるので、リハビリ外でケアできるところを自分で探したりはしていました。そういう部分はもう少しサポートしていただけるものがあればよかったなと思います。それだけでいろいろな心配をする必要がなくなりますし、もっとサッカーに集中できると思います。

ーー何か具体例などあれば教えてください。

栄養士さんや温泉施設ですかね。今も栄養に関してアドバイスしてくれる人はいますが、周りに一人か二人程度です。それに温泉はありません。そういうサポートを受けられれば、やはり嬉しいです。